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エル ニョスキ店主の
スペイン バルセロナでの料理修行体験記。
といっても、
料理のお話だけではありません!
時間があるときに少しずつアップさせてもらいます♪
※当ブログの無断転載はしないでくださいね!!
でもまぁ転載するほどの大作でもありませんけど(笑)
2024/11/22 (Fri)
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2009/08/06 (Thu)
今回の年越しのお話をしましょう。
俺は、ドイツ人の子と一緒にケーキを作ることになり、ジョゼップから教わったパイ生地とカスタードクリームを作り、イチゴを入れたミルフィーユを作ってパーティーに持っていきました。
なーんて、
「もしもし?」
と、パルミラが大抵電話に出るので、俺は、
「えーとすいません。ビルータスを20キロと、ちゃんと人形と豆が一つずつ入った三賢者のタルトを一つ、明日までにお願いします」
いや、
それくらいパルミラの笑い声は甲高いんですから。
今回の年越しのお話をしましょう。
この年の「Noche Vieja」は、語学学校のクラスメートの家でパーティーをしようということになっていました。
皆で料理を分担して各自作ってきて、持ち寄りのパーティーです。
俺は、ドイツ人の子と一緒にケーキを作ることになり、ジョゼップから教わったパイ生地とカスタードクリームを作り、イチゴを入れたミルフィーユを作ってパーティーに持っていきました。
さて。
肝心な「出来栄え」は、というと。
そりゃぁもちろん!
もうぐっちゃぐちゃで
とてもとても見せれた代物ではありません(笑)
そんなこんなで友達の家に着いて
びっくり!!
パーティーに来ていた男性は俺一人だけですよ。
他のクラスメートの男子も来ているのかと思いきや、
なんと俺一人、女子六名です。
それも、いろんな国の、いろんな女性。
おっと失礼(笑)
っていうか、ここまで女性だけが集まった中に男性一人なんて、実は結構恥ずかしいもんですよ。
それから皆で持ち寄った料理を食べて、飲んで、騒いで、年越しの時を待ちます。
このときにはすでに、今までの「勉強」の甲斐もあってブドウの皮むきも種取りも前もって終了していたので、12時の鐘と共にすんなりとブドウを食べることができました。
「今年は何か良いことありそうだなぁ!!」というか
「今年はすごい年になりそうだ!」と
俺は新しく明けた年を、ものすごく楽しみにしていました。
本当に、
「すごいことが起こりそうな予感」がしていたんです。
そして年も無事に明けた後、
食事も終えてうちらは皆で夜の街へ繰り出します。
とにかく、街の至るところではドンチャン騒ぎです。
もちろん、うちらも皆で朝まで踊ってましたよ(笑)
夜も明けて朝の六時、
始発の地下鉄が動き出す前には、家路に帰るすごい数の人達で地下鉄の入り口は埋め尽くされていました。
とりあえず俺は、すぐに家(ケイゴさんの家)には帰れなかったので、ドイツ人のクラスメートの家で少し眠らせてもらうことになり、昼過ぎに起き、デザートを作った道具などを持ち帰らなければいけなかったので、ちょっと大きくなったバッグを抱えて駅まで向かって歩いていました。
すると途中、
「そこの人、止まりなさい」
警察のパトカーから、スピーカーを使っていきなり誰かが呼び止められます。
俺は周りを見渡します。
道路には、車一台走っていません。
新年、お昼でしたが道にはまだ誰も歩いていません。
はい。
呼び止められたのは俺です(笑)
パトカーが俺の真横に停まると、警官が二人ほど降りてきます。
「なに? どうしたの?」
と、俺はさりげなく警官に向かって言いながら、
心の中で「またかよw」と(笑)
すると警官は
「いや、新年に、誰もいない道をそんな大きな荷物もって歩いてたから」
眠かったにもかかわらず、
俺は警官に昨晩のパーティーの話を説明しました。
バッグの中の荷物も見せました。
今回はちゃんとした「留学生」だったので、学生証も見せました(笑)
さすがに警察も納得してくれて、今回も事無きを得ました。
だけど、
「俺って、やっぱりそんなにガラ悪そうなの?」
失礼極まりない話です。
こんなに親切そうな顔してるのに(笑)
今思えば、
あの時の警官に
「明けましておめでとう!!」くらい言ってやれば良かったかな
なーんて、
まだそこまでの余裕なんてなかったくせに(笑)
それと、
「パステレリア ピエジャ」での、クリスマスのお話が一つ。
毎年1月6日、東方から三賢者がプレゼントを持って来てくれるという話は前にもしましたが、1月5日の夜、その三賢者は近くの村の広場まで行進しながらやって来ます。
途中、三賢者は行進しながら、飴やお菓子を投げたりして、集まった子供達を喜ばせています。
そして広場に到着すると、彼らは子供一人一人のプレゼントの「おねだり」を聞いて、翌日の朝までの間に、三賢人(両親?)が子供たちの枕元にプレゼントを置いていきます。
その日の昼間には、各々の家で最後のクリスマスパーティーを開いて祝います。
そこで食後に食べるのが「Tortell de Reyes(三賢者のタルト)」です。
パン生地の中にマジパンを入れて、大きなドーナツのような丸い形にして、そこにフルーツの砂糖煮を乗せて焼いた後、紙で出来た金色の王冠を真ん中に乗せます。
焼く前にパン生地の中には、そら豆と王様の人形をひとつずつ入れておきます。
そして皆で食べる時、タルトを何等分かに切り分けて、食べたタルトの中から人形が出てきたら、その人はその日タルトの真ん中に載せてあった王冠をかぶり、その日はずっと「王様」でいられるという「特権」があるのです。
しかし逆に「そら豆」が出てしまった場合、
なんとそのタルトのお金を払わなければいけないらしいのです。
子供に「支払い」を請求するわけですよ(笑)
まぁ、本当に払わせるワケではないのでしょうが。
もちろん、
毎年この日は子供達が必死になって人形を探し当てようとします。
というわけで新年早々、パステレリアではそのタルト作りに大忙しです。
クリスマス中は学校も休みだったので、俺は毎日のように店に手伝いに行っていました。
なんとスペインでは、どの家庭もそのタルトを食べる習慣があるので、店で作らなければいけないタルトの量は半端ではありません。
年明け早々、店の冷蔵庫や冷凍庫はタルト関連だけでぎっしり。
もちろん、通常販売しているものも仕込まないといけないワケですから、まさに想像を絶する量です。
そこでパン生地を作って成形するまではいいのですが、
――パン生地を焼く前に人形とそら豆を入れる――
この作業で、ある「事件」が起こりました。
クリスマスが明けた翌々日、ある一人の女性客が店に文句を言いに来ました。
「ちょっと!
昨日買ったここのタルトにそら豆が二つ入ってて、うちの子供達が喧嘩しちゃったじゃないの!!」
確かに、「人形の入っていないタルト」には全く意味がありません。
それはただの「パンケーキ」になってしまいます。
皆で厨房に入ってきて、何やら話し合っています。
そこで、疑いの目を向けられたのは、
はい。
言うまでもなく日本人の俺(笑)
でも、
「絶対に俺じゃない! もう一人の手伝いのおばさんだよ!!」と今でも言えます。
ほかの人に罪を擦り付けているわけではありませんが、あれは絶対に俺ではありません。
だけど、
店の皆は全く信じてくれませんでしたね(笑)
そんな事もありましたが、
カルデデウを離れた後でも「ピエジャ」に顔を出した時は、
彼らはいつでも帰り際に
「テツ、これ持ってきなよ!」
と、俺にいつも店にあるお菓子を適当に見繕って
というか、お菓子やパンを山ほどくれるんです。
「今までずっとタダ働きしていたから、その分こんなにたくさんくれるのかな?」
とも思ったけど、これは「くれ過ぎ」(笑)
「こんな量のお菓子、さすがに俺一人じゃ食べきれないよ~」
すごく嬉しいんだけど、さすがにこの量はあり得ません。
でも、
その「あり得ないくらいの量のお菓子」が
「ある日の晩御飯代わり」になったのも事実です(笑)
そうやっていつも俺が「ピエジャ」に顔を出す時は、
その前日に必ず彼らに電話をしてから遊びに行きます。
「もしもし?」
と、パルミラが大抵電話に出るので、俺は、
「えーとすいません。ビルータスを20キロと、ちゃんと人形と豆が一つずつ入った三賢者のタルトを一つ、明日までにお願いします」
と、普通どう考えても無理なことを俺も毎回「注文」の内容を微妙に変えて、笑いをこらえながら真剣な声でお願いします。
すると、すぐにパルミラはその「不可解な注文」で、
俺からの電話だと判るとすぐに大声で
「あら、テツ~!!!」
その度に俺は受話器を耳から遠ざけます。
いや、
本当に耳が痛いんだって(笑)
それくらいパルミラの笑い声は甲高いんですから。
でも、
いつも受話器からその甲高い笑い声を聞いていると
「ピエジャの皆は元気」ということがすぐに判りましたね。
俺が日本に帰ってからでも
「ピエジャ」では、毎年クリスマスの時期になると
例の「そら豆事件」の話になり、
当然のように
未だに俺があの時の「犯人」になっているようです。
だから
俺じゃないってば(笑)
今度スペインに行って
彼らの所に顔出す前には
どういう「注文」の電話を入れようかな?
どうせすぐに「俺から」って判るんだから
「寿司2人前」とか言ってみます(笑)
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