「ぼくのおみせ」ができるまで 忍者ブログ
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エル ニョスキ店主の スペイン バルセロナでの料理修行体験記。 といっても、 料理のお話だけではありません! 時間があるときに少しずつアップさせてもらいます♪ ※当ブログの無断転載はしないでくださいね!! でもまぁ転載するほどの大作でもありませんけど(笑)
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2009/09/14 (Mon)
それとは平行して、語学学校にも通って勉強を続けていました。
 
ここでは、スペイン語の他にスペイン人がいろんな言語を勉強しているクラスがあります。英語、フランス語、ドイツ語、アラビア語、韓国語、中国語・・・。中には日本語のクラスもあり、一年もその学校に通っていると、自然と、その学校で日本語を勉強しているスペイン人達と学校の中にあるバルで知り合うようになりました。
 
彼らは日本語の教科書を開いて勉強しているので「難しいですか?」なんてこっちから声を掛けたり、向こうからいきなり日本語で「こんにちは!」なんて言われたり。
日本語とスペイン語を織り交ぜての会話というのは、なんだか不思議な感じです。
 
 
 
そんなある日
 
その学校内にあったバルにて
 
数年ぶりに俺は、ある女性に「一目惚れ」しました。
 
 
「数年ぶり」を「○年振り」と言ってしまうと、
ひょっとしたらどこかで逆算されてしまう可能性があるので
あえてここでは触れません(笑)
 
 
その、俺が「一目惚れ」してしまった女性とは、
同じくその学校で日本語を勉強していた、タイスという子。
たまたま俺はその日、彼女と同じクラスで勉強しているスペイン人の友達と一緒に勉強するために学校のバルで待ち合わせをしていたら、ばったり彼女に出くわしたのです。
 
その瞬間、
 
頭の中で何かのドラマの主題歌が流れていたような(笑)
 
 
 
「心臓が口から出そう」とは、まさにこのことです。
 
 
 
ホント、「数年振り」です(笑)
 
 
「でも、今はまだろくに言葉も話せないし、口説くのはおろかデートにも誘えない!!」
と、
 
知り合ったばかりで、デートにだって誘えるかも全く分からないのに、
一人で勝手な妄想始めちゃってるし(笑)
 
 
とりあえず彼女とは何度か学校のバルで会って顔見知りになってから、
「一緒に交換勉強しませんか?」というところまではこぎつけていたので、
とりあえずは俺が「スペイン語で彼女に手紙を書き」、
彼女が俺に「日本語で手紙を書き」、
それを交換して、その後学校のバルで会い、
お互いの手紙を直して一緒に勉強したりしていました。
 
まるで「交換日記」です。
 
それはもう、毎日ドキドキです(笑)
それだけでもすごく楽しかったんですよね。
 
 
あの時は間違いなく「留学生活」を謳歌していたであろう店主です。
 
 
はい。
「純粋」というか、「単純」です(笑)
 
もちろん、お互いにろくに言葉も使えなかったので、
簡単な自己紹介とか、世間話とか、手紙の内容はそれくらい質素なものでしたよ。
それに俺は当時、
女性と付き合えるほどの時間やお金の余裕なんて全くありませんでしたから。
 
「貧乏留学生活」なんて送っていたら、デートなんてできませんって。
 
 
詳しくはまたいつかお話しします(笑)
 
 
 
そんな学生生活を送っていたある日、
日本語を勉強していたスペイン人の友達の中の一人のイグナシオに、一人の女性を紹介されました。
 
「テツ、ここで日本語を勉強している人がいてさ、その人、バルセロナでコックをしている旦那さんと一緒にレストランをやってるんだよ。良かったら今度その店に一度行ってみたら? 紹介してあげるよ」
 
「へぇ、そんな人もいるんだ? うんうん、行ってみるから場所教えてよ!」
 
もちろん、ジャン・ポールのお店にも働きに行きたかったのでしたが、
「ひょっとしたら、こっちで働ける?」と、別の「可能性」を探るつもりで
イグナシオに書いてもらった、かなり下手くそで見にくい地図(イグナシオごめん!笑)を片手に数日後、そのレストラン「Folquer(フォルケー)」へ行きました。
 
イグナシオが前もってその女性に俺のことを話してくれていたみたいなので、店に入るとその女性、アグラエはすぐに判ってくれたみたいで俺を笑顔で迎えてくれました。
 
「ようこそ、と、初めましてだね。えっと、テツだっけ? よろしく!」
 
「こちらこそ! 今日はご飯食べに来たんだけど、大丈夫?」
 
その店のランチメニューを頼んで食べ終わった後、
アグラエが俺のいる席に着いて、俺と一緒に少しおしゃべりです。
当時「三年生」で勉強していたとはいえ、まだまだ俺のスペイン語は拙かったんですけど、
それなりに「おしゃべり」できていたのかなぁとは思います。
 
「実はね、今、俺はカルデデウにある日本人がやっているレストランで働いてるんだけど、今度グラノジェールスにある別のレストランに勉強に行くことになったんだ。今はその日本人の家族の家に住んでいるから、これからはその家を出て、どこかに住むところを探さないといけないんだよ」
 
「あら、それならちょうどいいわ!」
 
「え?」
 
何のことだかさっぱり分からなかったのですが、すぐに彼女は、
「ちょっと待ってて! 今、この店に働いてるコックで、ルームシェアできる人を探している人がいるから、今連れてくるから紹介してあげるね!」
 
 
思いがけない言葉でした。
 
 
アグラエは俺にそう言うとすぐに調理場に向かい、しばらくすると調理場から一人、
俺よりかなり太目の、上下白のコックコートを着た一人のスペイン人が出てきました。
 
「初めまして、エクトールだよ。よろしく」
 
彼はそう言いながら、俺に握手を求めます。
太りすぎで息荒いんですけど(笑)
 
「テツです、よろしく」
 
そして、さっきアグラエに話したことを一から繰り返して彼に説明します。
すると彼は、
「それなら、今俺が住んでいるところに空き部屋があるから、そこに来るといいよ!」
 
なんでも、彼が住んでいるマンションに部屋が四つあって、そこを三人でシェアをしていて、一部屋余っているからその部屋に来ないか?ということ。
家賃も四人で割るから、一人当たりの金額なんて20000ペセタにも満たなかったのです。当時、日本円にすると一万五千円くらいか、それ以下ですね。
 
「よし。それなら今度、その部屋を見せてあげるよ!」
 
ゼーゼーと、荒い息で彼は話し続けます。
 
後日、改めてその部屋を見せてもらう約束をして
俺は「フォルケー」を後にしました。
 
 
あの日の俺は、
「彼との関わりがこれからずっと続く」とは、全く想像もできませんでした。
 
 
 
あの時から俺の運命を変えたと言ってもいい「彼との劇的な出会い」でしたが、
当時の俺は当然そんなことを知る由もなく、
 



タイスに書く手紙のことばかり考えていました(笑) 



★★★つづく★★★
 
 
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