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エル ニョスキ店主の
スペイン バルセロナでの料理修行体験記。
といっても、
料理のお話だけではありません!
時間があるときに少しずつアップさせてもらいます♪
※当ブログの無断転載はしないでくださいね!!
でもまぁ転載するほどの大作でもありませんけど(笑)
2024/11/21 (Thu)
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2009/09/23 (Wed)
二十三歳でスペインに来た俺は、
それから二日後、俺が住むであろうマンションの下見をさせてもらうために、そのマンションの向かいの一階にあるバルで待ち合わせをしました。
そこは、サグラダファミリアから歩いて3分もしないところにありました。
バルセロナの市内にはいろんな道が交差していて、道毎に名前が付いているので
「この道とこの道が交差するところに行ってください」と運転手に話せば、大体の位置を把握できて、タクシーに行き先をお願いするにも結構楽です。
バルセロナ市内の「マリーナ通りとコルセガ通り」がちょうど交差するところに、そのマンションはありました。
それはさておき。
大抵スペイン人は時間にルーズで、待ち合わせの時間に十分十五分は平気で遅れてきます。
「ごめんごめん!ちょっと仕込みが終わらなくて」
「ううん、大丈夫だよ」
エクトールと一緒に来た彼の友人のジョルディも、彼と同じ店で働いているコックです。
とりあえず三人でお茶して話でもしようと、待ち合わせしたバルに残って色々と話をすることになりました。
――彼ら二人と、まさかこの日から長い付き合いになるとは――
このマンションには、最初の借主のエリというスペイン人の大学生の女の子がいました。
彼女は、スペインの北にある、ほとんど国境に近い山の中の「ヴァガ」という村に実家があるので、大学に通うためにここにマンションを借りたそうです。
エクトールの親もその村に別荘を持っていて、そこでエクトールの妹とエリが仲良くなって… というつながりがあるらしく、エクトールの妹からエリを紹介してもらって今に至っているとのこと。
他にそのマンションには、アメリカから留学に来ていた女の子が一人いましたが、俺とはほとんど入れ違いで、俺が来る頃にはアメリカに帰ると言っていたので絡みはほとんどありませんでした。
その二人と、エクトールの現在三人でシェアしていました。
「なんか怪しいなぁ」
まだ知り合ったばかりなのに、なぜか彼らは俺に対して妙に馴れ馴れしいんです。
しかも、彼ら二人は妙に仲が良さそうに見えるんです。
「おいおい、この二人はひょっとしてゲイなのか!?」
そう思ったら、一瞬だけ引きました(笑)
ですが、そういうことは直接聞くことでもないし、別にどうでもいいことでしたが、
「俺にだけはちょっかいは出すなよ!俺は女性のほうが好きなんだから!!」
ということだけ考えながら、
最初のスペイン旅行で見た、あの「シッチェスの海岸の光景」を思い出していました(笑)
とりあえずそんなことは気にしないようにして、俺なりのスペイン語で自己紹介した後に部屋を見せてもらいます。
ロビーを通り、エレベーターに乗って、マンションの六階に上がります。
でも、日本で言うとそこは「八階」になります。
なぜかと言うと、スペインでは建物の入り口、つまり日本で言う一階を「ゼロ階」と表現します。しかもその上は「Entresuelo(エントレスエロ、中二階)」となっていて、その次の階から日本でなら三階のところから「一階」と数え始めるため、六階とは言えど日本で言えば八階になるわけです。
俺の部屋になるところは、ドアを開けて家に入ってすぐ右側、四畳半くらいの小さな部屋でした。そこにはベッドと机だけ一つずつ置いてありました。
その部屋は建物の「中庭」に面しているため、光はほとんど当たりません。
が、そんな文句は言う必要もありません。
「まぁ、部屋小さいけどこんなもんでしょ? 家賃も安いし」
しかし、その後にすごいものを発見。
マンションの入り口からサロンにつながる廊下に、
無造作に置かれたスーパーのビニール袋、袋、
とにかくどこを見ても袋だらけ(笑)
これは明らかに、「ごみ袋」です。
一つ二つならまだしも、八袋くらい壁側に綺麗に並んでいましたよ。
それを見てびっくりしている俺に気が付いたのか、
「実はコレクションしてるんだよ」と、
苦笑いしながらエクトールが言い訳交じりに俺に言ってます。
いや、そんなわけないって(笑)
そしてサロンにあるバルコニーに出てみます。
向かいや隣、斜め前のマンションのバルコニーが丸見えです。
洗濯物を取り込んでいるおばさんがいたり、
バルコニーに椅子を出して座って日向に当たりながら本を読んでいるおじさんがいたり、
正面のちょこっとだけですが、サグラダファミリアが見えます。
「へぇ、こういうところに住めるのも悪くないなぁ!!」
なんだか地元の人間になった気分でした。
今まで居候していたケイゴさんの家はとても静かな住宅街にあった一軒家だったので、
今までと全く違う環境に新鮮さを覚えましたね。
もともと日本で団地育ちの俺には、
こういうマンション暮らしのほうが、住み易く性に合っていると思いましたし。
そしてその後、
エクトールと家賃の支払いの話などを済ませ、8月にこのマンションに引っ越すことに決めました。
とりあえず秋まではうちら三人しかいここに住む人がいないから
「家賃を三で割るということになるけど、三人で負担するのは秋まで」という話でしたが、とにかく家賃が安いので別に三人で割ろうが四人で割ろうがそんなに気になりませんでした。
実際8月は俺一人しかいないし、だいぶ気楽に過ごせそうだ。
「8月は皆この家にいないから。夏休みで皆実家に帰るんだよね。だから20日くらいまでは一人でここに住んでゆっくりしてなよ!」
と、エクトール。
「うん、俺も旅行に行くつもりだからね。旅行から帰ったら連絡するよ!」
この時間を利用して、今度はスペインの北にあるサンセバスチャンに行ってみようと考えていました。
ジャン・ポールの店も夏はクローズして休むと聞いていたので、夏休みの明ける9月から行きますと伝えてあり、その間俺はほとんど丸一ヶ月何にもすることがないから、その間に食べ歩きを旅行を予定していたのです。
その旅行で、
サンセバスチャンにあるミシュラン三ツ星レストラン「Arzak(アルサーク)」にも食べに行こうと思っていました。
なんと、偶然にもその店で働いている二番シェフと、俺が通っている語学学校の担任の先生が友達だったんです。
俺の話はしておいてくれると担任の先生は言ってくれたので、行ったことのないところにまた旅行しますが大分気が楽になりましたね。
「バレンシアに行ったときみたいに、警察に止められなければいいや」
それぐらいにしか考えていませんでした。
すでに二度も警察に止められてるもので(笑)
「いよいよ一人立ちみたいになってきたなぁ、俺はこれからどうなるんだろ?」
ついにケイゴさんのところを離れて、知り合いのいない環境に飛び込むことになりました。
しかも今回は、日本人とも全くコンタクトの取れない環境です。
もちろんこれからは日本語なんて全く話せなくなってしまいます。
ですが、こういう環境に自分をある程度追い込んだほうが危機感も生まれるし、自分にとっては好都合と、一人でワクワクしていたのも事実です。
その日カルデデウに帰る電車の中で、俺は妙に気分が良かったのを覚えています。
小さい頃からチャレンジ精神旺盛だった俺にとって、
これからの新しい生活はまさにうってつけの環境でした。
気が付けば、
少しスペイン語が話せるようになって、
環境が少しずつ変わってきて、
生活もちょっとずつ楽しくなり始めて。
二十三歳でスペインに来た俺は、
今年、あっという間に二十六歳になろうとしていました。
★★★つづく★★★
★★★つづく★★★
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