[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
この頃、俺が始めたくだらない企画がお店で最高潮に盛り上がっていました。
「働いてるスタッフの誕生日を皆で祝おうよ!」という企画です。
今でも思い出すと、あの頃に戻ったみたいで懐かしくなってしまいます。
「誕生日おめでとう」はスペイン語で
「Feliz Cumpleaños(フェリス クンプレアニョス)」と言います。
ルックラがオープンした頃、前もって皆の誕生日を教えてもらっていました。
この日のために(笑)
そして、誰かの誕生日がくると、
仕事が終わってからお店のパティシェが作った小さなケーキに一本だけろうそくを立てて
調理場のキッチンの電気を全部消して真っ暗にして
お願い事をしてもらってろうそくの火を吹き消させた後
皆とカヴァで乾杯して祝うという、「なんとも微笑ましい企画」でした。
余り物のパンにチョコを塗ったりホイップクリームを塗ったりしてケーキの代用品を作り、そこにろうそくを立ててお祝いをしたこともありましたね(笑)
そんな中、
都合が良くエクトールの誕生日(8月10日)が近づいてきました。
最初はそんなに大事になるとは思わず、軽めに仕掛けました。
いつものように、ろうそくを立てた小さなケーキにカヴァを用意します。
ここまではいつもと同じですが、
そのカヴァを、乾杯すると見せかけてエクトールの頭と顔にめがけて皆で一気にかけたのがその始まりでした。
そのときエクトールは何か言っていましたが、
彼もまんざら悪い気はしていませんでしたね(笑)
そして、
それが日に日にどんどんエスカレートしていき、
回を追うごとに大イベントになっていきます。
誰からともなく、です。
・カヴァ
・ 生卵(殻付のまま頭の上でつぶされます。ちゃんとシェフには事前に了解済みですよ!)
・ プラスチックバケツに入った液体ミックス(何が入っていたかはここでは言えないくらいすさまじいものでした)
中には、液体をかけられて「目が痛い!目が!!」なんて言ってるコックもいましたけど、皆お構いなしでしたね(笑)
「いいよ、いいよ、全部混ぜちゃえ!!」と、誰からともなく言い始めて。
あ、
俺じゃないですよ?この液体を最初に作ったのは。
俺は生卵で十分満足していましたからね。
さてさて。
誕生日の方は、「牛乳パックを入れるプラスチックでできた四角い箱」をさかさまにした即席の椅子に座らされ、そして皆がその周りを囲みます。
その時点で、皆の顔から笑いが出ちゃってます(笑)
そして、調理場の電気を消し、外の客席に聞こえないように(いや、確実に聞こえていたでしょう)大声で誕生日の歌を唄います。
唄い終わった瞬間、大歓声と共に、
総攻撃(笑)
毎回ちゃんとシェフにも事前に了解を取っていたので、
「安心して祝っていた」というより
あれは完全にはしゃいでいましたね。
しかしどうして「ここまで汚せたか?」といいますと、
お店の更衣室にはシャワー室がご丁寧に備えてあって、そこで全部きれいに洗い流せたからです。
もちろん、その後は皆で厨房の床をきれいに掃除して、しっかり後始末もしていましたよ。
なんだか派手そうに聞こえるかもしれませんが、
液体の量は大体合計で三リットル前後くらいでした。
十分に派手ですね(笑)
俺は、いつも誰かの誕生日になると率先してその「宴会部長」を務めていましたが、
自分だけはやられたくなかったので、誰にも俺の誕生日は教えていなかったんですよ。
しかし。
エドゥアルド経由で俺の履歴書を皆に見せられて、俺の誕生日はすぐにばれました。
俺の誕生日は12月15日です。
今までスペインでは、
俺の誕生日になったら、
・ ケイゴさんの店では「ピエジャ」で作ってくれたケーキでお祝いしてもらったり
・ ジローナでは同居人が皆で俺にZippoライターを贈ってくれたり
と、―なんとも微笑ましい誕生日のお祝い―でした。
が、今年はそうはいくわけがありません(笑)
今まで俺が先陣を切ってはしゃいでいたため、
皆は当然のように俺に「仕返し」がしたかったんです。
当たり前ですよね(笑)
さて。
俺の誕生日当日。
営業が終わるにつれて、みんなの顔から笑顔がこぼれ始めます。
いや、笑顔というより、何か企んでいる憎たらしい顔です。
もちろん覚悟は決めていましたが、反面かなり憂鬱でしたよ。
しかし
「一年に一度だけ!」
いや、「一生に一度!!」と思い、腹をくくります。
そして、ついに俺も箱に座ってしっかりとお祝いしてもらいましたが、
今までの「ツケ」と、「テツは外国人」ということもあり、それはまた派手にやられました。
頭の上にかかってきた物は、
この世のものとは思えない、とにかく訳の分からない液体で、
コックコートの白い色も分からなくなるくらいに判らない液体をかけられました。
これで、俺のコックコートがゴミ箱行き決定。
ワケの判らない液体が体中に染み渡ります。
何とも言えない気持ち悪さ(笑)
すぐにシャワー室に行って体を流したあと、
シャワーから上がったら、
またそこをエクトールとジョルディにここぞとばかりに生卵を頭からやられました。
「なんだよ~! 今洗ったばっかりだろ!!」
すると二人は、「いいだろ、卵のトリートメント。卵は良いらしいぞ~?」
ムカつくから、その生卵でベトベトの俺の頭を、
二人が着ていたコックコートをタオル代わりにして、擦り付けて拭いてやりました(笑)
当然、英ちゃんも彼の誕生日にその餌食になったのは言うまでもなく、
挙句の果てにはお店のウェイトレスのお姉ちゃんまでもが皆の餌食となっていました。
みんな、なんだかんだ言っても
そうやって祝って欲しかったみたいです(笑)
中には、それが嫌で店の中を逃げまくって、転んで壁に頭をぶつけて頭を切ってしまい病院に行って数針縫うコックもいたので、こういうおめでたいことは皆の同意の上でお祝いしましょうね。
だけど、
「やられる側」も意外と楽しいのも事実ですよ(笑)
★★★つづく★★★